秋葉紅のブログです。ポケモンや擬人化の話など。気が向いたら。
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2024/04/28/Sunday
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サンリーフ4
2011/06/10/Friday
リータがチュカと住むようになって、一週間が経った。
広場の皆ともほぼ打ち解けて、毎日皆から話を聞いて日々を過ごしていた。
チュカは実は寝起きがそれほどよくないらしく、初日以降リータの方が先に起きてきている。先にご飯を食べるのは申し訳ないので、チュカが起き出すまで、リータは家の周辺を散歩することにしていた。
一回りして、家に入ろうとした時。
焦った顔のヒトカゲが、家へと駆け込んできた。
「……どうしたんですか?」
「へ……? え、チュカの知り合い?」
「は、はい」
ヒトカゲはそっか、とだけ言って、家に入って叫んだ。
「チュカ!起きろ!」
チュカの知り合い、らしい。汗をぬぐって、チュカが寝ている部屋へ入っていく。どうすればいいのか分からなくて、リータもそれに続いた。
「……カゲト、?」
寝ぼけ眼のチュカが起き上がってカゲトと呼ばれたヒトカゲを見る。カゲトが息をついた。
「朝早くに悪い。……話があるんだ」
-Chapter4 : 海岸洞窟―
カゲトも食事をとっていないようだったので、三匹で林檎をかじりながら話を聞く。
「帰ってくる途中にな、洞窟のダンジョンがあるんだ」
リータには全然話が分からなかったが、とても口を出せる状況ではないので後で聞こうと思いながら耳をすませた。
「ウミが、用事があるからちょっと寄るとか言いやがって……。オレは嫌だったから、入り口で待ってたんだ。その洞窟、海に近くて。割と短いダンジョンだから、1日もないはずなんだ。なのに、」
「帰ってこなかった?」
カゲトは頷いた。
「昨日の朝の話なんだよ、これ。で、1日経っても帰ってこないから、心配で。でもオレ……」
とうつむくカゲトの目の下には、隈。一日中起きていたのだろうか。
林檎を食べ終えたチュカが立ち上がる。
「分かった。僕が行くよ。もしかして、洞窟って海岸洞窟?」
「ああ。 ……ごめんな、チュカ」
「大丈夫だよ。それよりカゲトは寝といた方がいいんじゃない? ひどい顔だよ」
「でも……」
「ウミに笑われるよ?」
「……部屋借りる」
「オーケー」
ふらふらとした足取りで、カゲトはチュカの部屋へと消えた。
「……ねえ、チュカ」
話しかけると、チュカは焦ったようにリータを見た。
「あっごめん、全然分からないよね……」
「うん、分からないけど……私も、行っていいかな」
きょとんとした顔を返された。リータは苦笑する。
「早く行かないといけないんだよね?」
「あ、そうだね! ……じゃあ、説明は行きながらでいいかな?」
「うん」
「ごめんね、リータ。よし、行こうか」
海岸洞窟へ行く道は、チュカの家の正面から向かった。
「さっきのヒトカゲはカゲトって言ってね、僕の友達なんだ」
チュカが語る。リータは相槌を打つだけにした。
「カゲトの幼馴染み、ウミってミズゴロウなんだけど、ウミも友達。ちょっと前に、ふたりで里帰りしてたんだ」
二ヶ月くらい前かな、とチュカが曖昧に言う。
「多分その帰りがけだったんだろうね」
「そっか……。ねえ、ダンジョンっていうのは?」
「時空が歪んでしまった場所。……らしいよ。よく知らないけど」
チュカが苦笑した。
「これも災害の影響、らしいんだけど。森とか洞窟とかに階層があるんだ。それで、中で倒れちゃったりすると入り口に戻されちゃうんだよね。一回入ると倒れるか奥底、最上階に着くか、ある道具を使わないと戻れなくなっちゃうみたいで」
「え……」
「それと、災害の影響か時空が歪んでいるらしいからか、ポケモンの理性がなくなってるらしくて。見境なく襲ってくるんだ」
リータの顔が不安に歪んでしまったのを見たからか、チュカが心配そうにのぞきこんでくる。
「大丈夫? やっぱり家で待ってた方が……」
「……ううん」
リータはゆるく首を振る。
「大丈夫。……行くって言ったのは、私だから」
「無理はしないでね」
チュカはそれ以上それについては追及しなかった。小さな声で、続ける。
「そういえば、リータって元人間なんだよね? 戦える?」
「戦え、ないと思う」
そんな経験はないはずだ。普通、戦ったりなんてしない。はず。記憶がないから断言は出来ないけど、自分に戦った記憶がないのは分かる。
「チコリータだし、葉っぱカッターとか出来るんじゃないかな。ダンジョンに入るなら、戦えないと、危ないし」
チュカの顔が曇る。リータは少し考えて、足をとめた。
イメージする。今の自分はチコリータだ。『葉っぱカッター』みたいな技が使えるはず。葉を、高速で飛ばす技。
チュカが不思議そうにリータを見る。
リータは力強く頭の葉を振った。風を切る音。頭をあげて、前を見る。丁度先の方に立っていた木に、二枚の葉が刺さっていた。成功したらしい。
「『葉っぱカッター』……?」
「うん。出来るかな、って試してみたんだけど、……」
出来たようだ。
「なら、大丈夫だね。もうそろそろ着くよ」
チュカの言葉の通り、それから五分ほどで海岸洞窟の入り口へと辿り着いた。
海岸洞窟とは言うが、そこまで海に近いわけでもないらしい。波の音は聞こえはするけれど、小さくて。
ぽっかりと岩に開く穴を見て、リータはごくり、と唾を飲み込んだ。
緊張する。不安だってある。怖くない、訳がない。……でも、自分で行くと決めたのだから。
「リータ?」
「大丈夫。行こう?」
チュカを安心させるように笑みを浮かべて、リータはチュカと海岸洞窟へと入った。
洞窟は薄暗かった。しばらく進むと、小さな部屋のような場所に出た。
後ろを振り返る。真っ直ぐきたはずだから、見えてもおかしくないはずの入り口の光は、ない。
「……どうすればいいの?」
「とりあえず、奥へ進んでみよう。ウミを探しながらね。ここのあたりにミズゴロウはいないはずだから、ミズゴロウがいたらウミだと思う」
「分かった」
チュカと二手には別れずに進む。迷子になったら再会出来そうにないからだ。
「リータ、あっち」
不意にチュカが通路を指した。そちらを見る。コダックがこちらに近づいてきていた。
話された通り理性はないらしくて、うつろな目をしている。ふらふらとした足取り。敵意。リータは怖じ気づいてしまった。
チュカが一歩前に出る。両手を赤い頬にあて、力を込めると、丁度正面まで来ていたコダックに電気が迸った。
真っ黒焦げになったコダックが倒れる。ふう、とチュカが息をついた。
「すごいねえ」
「え、そう? そんなことないよ」
チュカが照れたように笑った。
近づいてくるコダックを思い出す。……怖かった。でも、逃げるわけにはいかない。『水』に対して『草』は効果抜群。同じく効果抜群な『電気』で一撃で倒れたのだ、近づかれる前に、『葉っぱカッター』をすればいい。
そこまで考えて、一つ頷いた。頑張らなければ。
部屋を通路を進む。ポケモンはそれ以降会わなかった。
幾つめかの部屋で、リータは壁が削られているところを見つけた。それなりに深いらしい。ぽっかりと穴が続いていた。通路とはまた違うようである。
近づいてよく見ると、底が浅い段になっていた。奥に行くにつれ、ゆるやかに下がっている。
「ねえ、チュカ、これは何?」
チュカを呼び止めて尋ねる。
「あ、階段だ。よく見つけたねえ、リータ」
「階段?」
「そう。次の層へ向かう階段。ここの層はもうあらかた探したと思うし、降りてみようか」
と言ってチュカが階段に足を踏み入れた。恐る恐るリータも続く。
奥は何故かまた明るくなっていた。降りきったところは、また部屋になっている。上と似たような風景。層と言ったチュカの言葉をようやく理解した。
一層に4、5体くらい、理性をなくしたポケモンが出てきた。今度はリータも『葉っぱカッター』で攻撃したりした。それなりにリーチがあるから、攻撃されることはなかった。
五層めだろうか。
「そろそろ奥のはずなんだけど」
通路を進みながらチュカが呟いた。先程敵を攻撃した電気が残っているのか、ぱちりぱちりと小さな音。
「奥って、どんな感じ?」
「うーん、行き止まり……かなあ。ちょっと開けてて、ポケモンは滅多に出てこないよ」
「そうなんだ、」
通路を出ると、行き止まりの部屋だった。今までの部屋とは、色が違う。ざざざ、と波の音。
「ここって……」
「奥、みたいだね」
きょろ、と見渡す。洞窟を下ってきたから地下なのかと思ったけれど、そうでもないらしい。区切られた、小さな海岸のような。
波の寄せる砂浜。リータたちからほど遠くない所に、伏せているミズゴロウと近くに座っているミニリュウがいた。
next→Chapter5
あとがき
超捏造たっぷりでお送りしています←
説明ばっかりですみません……。いやでも多分きっと今回限りです。うん。
いつのまにかウミがピンチ(?)ですね。
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